半導体装置向け開拓、三菱電機がサーボモーター用減速機を拡充
年1万台販売目指す
三菱電機はサーボモーター用減速機の製品群を拡充する。月内にバックラッシ(歯車のかみ合わせの隙間)を抑えた精密減速機を発売するほか、高トルクを生み出せる機種も開発中で2024年度の投入を目指す。高いシェアを持つACサーボモーターに加え、減速機の開発にも注力することで、装置の小型化など顧客のニーズへの対応力を高める。同社は22年に減速機単体の販売を開始しており、今後投入する製品を含めて減速機全体で5年以内に年間1万台の販売を目指す。
10月に発売する精密減速機は、新たに確立したスカイビング加工技術により、内歯車の製造を従来よりも高精度に加工できるようになったことなどで、バックラッシを標準の8分から3分に向上させた。半導体製造装置といった高い位置決め精度などが要求される製品を開拓する。
また、減速比が15分の1から60分の1までと大きく、高トルクを生み出せる領域の機種も開発中で、昇降機器などパワーが必要な機械・装置を狙う。
これらの新製品は、三菱電機が22年に発売した減速機「GRシリーズ」の製品として展開する。
同シリーズは現在、減速比3分の1から10分の1の比較的低い領域の機種で構成する。スカイビング加工による内歯車の高速・高精度加工をはじめ、密閉性の高いオイルシールに特殊コーティングを施して高速運転時の低損失を可能にするなどさまざまな独自技術を採用。同社製サーボモーターの最大トルク350%に対応できるなど各種性能を制約なく引き出せる。
サーボモーターと減速機の両方を1社で手がける事例は珍しい。同社は22年10月のGRシリーズの投入と同時に、それまでサーボモーターとの一体形のみで提供していた減速機を単品で発売した。当時は部品不足などサプライチェーン(供給網)が混乱していた事情もあり、他社製の主要モーターとの互換性もある減速機の単品売りに踏み切ることで顧客の柔軟な調達を助ける狙いがあった。