3Dプリンター活用のバイオプリントに新手法、阪大などが開発した意義
大阪大学の境慎司教授や広島大学の花之内健仁教授らは、3次元(3D)プリンターを使って機能不全な状態になった身体の組織の構造物を作製するバイオプリントの新たな手法を開発した。造形を促すプリント補助剤に、超音波エコー検査用ゼリーを採用した。インク材料に含まれるヒトの肝臓由来細胞が構造体内部で成長したのも確認した。機能不全になった身体の一部の代替のほか、再生医療の足場材料としての役割が期待できる。
従来の方法はプリント補助剤が構造物中に多く取り込まれてしまう課題があった。超音波エコー検査用ゼリーはカルシウムイオンに接触すると外れる特徴があるため、研究チームはこれを補助剤として使うことにした。 ヒトの肝臓由来の細胞とマウスの皮膚の細胞にヒアルロン酸誘導体1%、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)0・1%以下をインクに使用し、プリント補助剤と交互に積層させた。結果、インクに含まれる動物細胞を生きたままプリントすることに成功した。
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日刊工業新聞 2023年10月17日