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阪大が「ムーンショット型研究」で開発、パウチ型センサーの実力

大阪大学の小山佳祐助教と原田研介教授は、反力や厚みを調整できるパウチ型センサーを開発した。パウチ加工で作製した袋を空気圧で膨らませる。この袋の中に近接覚センサーを封入して袋の変形量を計測する。ロボット向けにウエアラブルセンサーとして提案していく。

袋に空気を入れて動きを作るパウチモーターの中に薄型近接覚センサーを封入する。近接覚センサーは距離を測るために一定の距離を開ける必要があったが、阪大発ベンチャーのThinker(大阪市中央区)の薄型センサーで薄いパウチの変形計測を実現した。パウチの厚みで4・5ミリ―20・5ミリメートルの変形を0・1ミリメートルの分解能で測れる。

空気圧やパウチの形で反力や動きなどを調整できる。一定の空気圧をかけるとパウチは弾性変形する。弁を開けて空気が漏れるようにするとパウチは塑性変形する。実験では塑性変形時は弾性変形時の約3分の1の力を計測可能。人の腹部に身に着けると呼吸を計測できた。ウエアラブルロボットのセンサーとして利用できる。

静電吸着ハンドと組み合わせると水中で傾いたガラスをハンドリングできた。パウチ型センサーでガラスの面の向きを測り、ハンドの角度を調整して把持する。センサーはパウチの中にあるため防水処理が要らない。

今後、パウチ形状や素材の最適化を進める。内閣府・科学技術振興機構のムーンショット型研究開発事業で開発した。

日刊工業新聞 2023年9月26日

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