核融合国際プロジェクト向け、三菱重工が世界最大級の超電導コイルを完成
三菱重工業はフランス南部で建設中の国際熱核融合実験炉「ITER(イーター)」向けに、世界最大級の超電導コイルであるトロイダル磁場(TF)コイルの最終号機を完成させた。量子科学技術研究開発機構から受注した5基目。高さ16・5メートル、幅9メートル、総重量300トンと巨大だが、炉内で核融合反応を起こすために必要な1万分の1以下の精度で製作した。
日本はITER向けTFコイル19基中9基を製作し、そのうち三菱重工が5基を担当。量研機構と共同開発の超電導体を高精度で巻線する技術や溶接・加工技術などにより、高精度を実現した。
三菱電機が巻線部を製作し、外側構造物を韓国で製作した後、三菱重工の二見工場(兵庫県明石市)で一体化して完成した。4基は現地据え付けが進んでおり、最終号機も今後据え付けられる。
ITERは核融合エネルギー実現に向けた大型国際プロジェクトで、日本は主要機器の開発・組み立てを担う。三菱重工はTFコイル以外にも、ダイバータや水平ランチャーなど主要機器を開発・製作している。
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日刊工業新聞 2023年08月28日