アルミ積層造形の廃材100%再利用、東洋アルミが企業連携主導
東洋アルミニウム(大阪市中央区、楠本薫社長)は、アルミニウム合金粉末による金属積層造形(AM)で生じる廃材を企業連携で100%再利用する。粉末の元になるインゴット(鋳塊)の合金メーカーが、造形後の廃材や粉末を回収し、新品原料に混ぜてインゴットを再生する。アルミは精錬工程で電力を大量消費し、合金は高価な金属も含む。2024年3月に連携先と完全な再利用を達成し、二酸化炭素(CO2)低減と資源の有効活用を推し進める。
東洋アルミが連携するのは、合金メーカーの日軽エムシーアルミ(NMCA、東京都港区、香山昌志社長)と、AMサービスを手がけるNTTデータ ザムテクノロジーズ(同港区、水沼憲一社長)。東洋アルミはNMCAからインゴットを調達してアルミ合金粉末を製造し、ザムテクノロジーズに供給している。
ザムテクノロジーズは造形時に造形品を支える同じ粉末材料の土台と、部品から取り除いた粉末を、合金成分の組成別に正確に分別。それをNMCAが廃材として回収し、新品の原料に混ぜて組成別のインゴットに再生する。粉末の製造工程では標準サイズ外の粉末が30―40%生じる。NMCAはそれも東洋アルミから回収し、インゴットの原料に再利用する。
アルミ合金のAMは軽さや合金別の特性のほか、複雑形状の一発成形が可能な点が特徴。航空・宇宙やレース車、2輪車用などで需要が伸びている。AM用アルミ合金粉末の世界市場は23年度予想の300トンから25年度に500トンに拡大する見込み。
廃材は成分組成別の分別や管理が難しく、スカンジウムなど高価金属も含みながら、無償か低額で廃棄処分されている。東洋アルミはAMのアルミ合金粉末事業が年間5億円弱で、国内市場をほぼ独占する。CO2低減と資源循環型に改めて事業を持続させるため、3社連携を主導した。今後はほかの粉末供給先とも連携を検討する。
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