2インチの大型ダイヤ基板開発、イーディーピーが半導体デバイス強化
イーディーピーは2024年度に2インチ(50ミリメートル)角の大型ダイヤモンド基板の開発や、低抵抗ダイヤモンド基板の量産化技術の確立を目指す。この一環でウオータージェット付きレーザーを10月ごろまでに導入する。基板の製造工程でダイヤモンド結晶を切断する際の効率向上や切り代の低減が狙い。投資額は1億1000万円。同社は人工ダイヤモンド宝石製作用の種結晶の製造・販売が主力だが、半導体デバイス向けの開発にも力を注ぐ。
大型のダイヤモンド基板は複数の単結晶基板を並べて接続した上に結晶を気相成長させて製造するモザイク結晶。従来は30ミリメートル角が最大だったが、成長技術の改良とともに、大型化を進めるプロセスの中でも新設備を活用する。大型化によりパワー系の大型デバイスへの応用や、光学部品向けの採用が期待できる。
また同社ではパワーデバイス向けに不純物としてホウ素(ボロン)を混入することで、導電性で電流を通しやすい低抵抗ダイヤモンド基板を実現した。半導体に適したエピタキシャル層付き基板も開発。縦型構造のパワーデバイスなどに適しており、新設備などを活用して24年春をめどに量産技術の確立を目指す。
絶縁体であるダイヤモンドは、他の半導体材料と比べてバンドギャップや熱伝導率が大きく、耐電圧も高いなど優れた物性を持つ。そのため半導体デバイスに適用できれば省エネルギーや機器の小型化などに貢献できると期待されている。
日刊工業新聞 2023年9月26日