半導体に生かせる。人工ダイヤの新たな製造法を見出した!
立命館大が実現
立命館大学総合科学技術研究機構の田中武司上席研究員は、人工合成ダイヤモンドの新たな製造法を見いだした。アセトンにポリスチレンを溶解し、水酸化カリウム(KOH)水溶液にゼラチンなどを溶かすことにより、天然ダイヤモンドやダイヤモンド焼結体(PCD)の上でダイヤモンドが成長する手法。人工合成ダイヤモンドは品質評価など基礎的課題は多く、半導体として機能するドープダイヤモンドなどの作製に応用したい考えだ。
田中上席研究員は炭素化促進剤をアセトンとポリスチレンとし、炭素化原料としてKOH水溶液にゼラチンや繭、コメなどを溶かした。反応容器内で両液を滴下して溶媒をつくり、ホットスターラー上で反応容器を置いて溶媒をかき混ぜた。
外側からは反応容器を透過する366ナノメートル(ナノは10億分の1)以下の紫外線(UV)を照射。反応容器内にダイヤモンド基板も入れている。15カ月後に薄膜の厚さが増し、ゼラチンなどを用いた培養でダイヤモンドの薄膜成長を確認した。
アセトンとKOH水溶液の化学変化により溶媒は変色し、溶媒中には活性炭素類や有機化合物が生じる。これらをUVで“切断”して溶媒中に析出させることなどでダイヤモンド結晶が基板としての天然ダイヤモンドやPCDの上で成長した。
人工合成ダイヤモンドは高圧高温法(HPHT)、化学気相成長(CVD)法などで製造されている。ただ多額な設備資金が必要となる。天然ダイヤモンドの採掘現場も過酷な作業環境で知られる。
日刊工業新聞2021年12月8日