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オーブレーが100億円強投資、車載半導体ダイヤ基板の新工場

オーブレーが100億円強投資、車載半導体ダイヤ基板の新工場

直径2インチ高純度ダイヤモンド基板(右)と市販の4ミリメートル角ダイヤモンド

Orbray(オーブレー、東京都足立区、並木里也子社長)は総額100億円強を投じ、秋田県湯沢市内に車載パワー半導体用ダイヤモンド基板などを手がける工場を新設する。本社を新工場に移すとともに市内および近隣の既存工場を移転、集約する。2025年後半から新工場の建設に着手し、32年までの移転完了を目指す。ダイヤモンド基板事業の拡大や電気自動車(EV)用部品事業への参入に向けた体制整備を加速する。28年に売上高を22年比約3割増の320億円に引き上げる。

湯沢市内に約5万5000平方メートルの土地を取得し、新工場を建設する。本社登記を現在の東京都足立区から新工場に移すほか、精密宝石部品を手がける同市内2工場と光通信部品を手がける秋田県横手市内の工場を新工場に移転・集約する。湯沢市の現工場は今後外部への売却を検討。横手市の工場は年内に方針を決める。

このほか新工場建設予定地に隣接するTDKの旧工場を取得済みで、レコード針や時計部品などの生産拠点として8月にも稼働する。

新工場は引き合いが増えている車載向けパワー半導体用ダイヤモンド基板の生産ラインを整備する。電子制御ユニット(ECU)などで参入を計画するEV用部品事業の拠点としても活用する。精密宝石部品、光通信部品、ダイヤモンド基板の3事業の売上高を28年に同15%増の160億円に拡大する考え。

人材獲得競争が激化する中、新工場を通じ地域でのブランド力を高め、秋田県や周辺地域からの人材採用も強化する。後継者が不在で事業承継に課題を抱える外注先の取り込みなども進め、今後数年で新工場の人員を800人強(現在は700人強)に増やす計画。既存工場は老朽化が進んでいる課題があった。

オーブレーは精密宝石部品や小型モーター、医療機器などを手がける。近年はダイヤモンド基板事業に注力し、量産技術の開発などに成功。トヨタ自動車デンソーが共同で設立したミライズテクノロジーズ(愛知県日進市)とEV向けダイヤモンド製パワー半導体の共同研究を始めるなど同分野での引き合いが増えている。


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日刊工業新聞2023年5月22日

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