ダイヤモンド半導体、トヨタ・デンソー共同設立会社とミライズが研究開始
Orbray(オーブレー、東京都足立区、並木里也子社長)とミライズテクノロジーズ(愛知県日進市、加藤良文社長)は11日、電気自動車(EV)など電動車向けダイヤモンド製パワー半導体の共同研究を始めたと発表した。ダイヤモンドは耐電圧性能と熱伝導率に優れ、電動車への搭載で燃費・電費性能の向上が期待できる。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に向けた電動車の普及拡大を見通し、10年後の実用化を目指す考え。
基板に対し、大電流を垂直に流せる「縦型」のダイヤモンド製パワー半導体の技術開発で共同研究契約を結んだ。研究期間は3年間。オーブレーは不純物の添加によって電流を流すことが可能な「p型導電性ダイヤモンド基板」の開発を、ミライズは耐圧保持構造の開発などを担う。
ダイヤモンドは半導体の材料として主流であるシリコンやシリコンカーバイド、窒化ガリウムなどの素材と比較し、高い耐電圧性能や放熱特性があり、次世代パワー半導体の材料として期待されている。オーブレーとミライズは研究期間終了後もダイヤモンド製パワー半導体の実用化に向けた協業を検討する。
オーブレーは小型精密モーターや精密宝石部品などを手がける。近年はパワー半導体向けダイヤモンド基板の量産技術の開発に成功するなど同分野に強みを持つ。
ミライズはトヨタ自動車とデンソーが共同で設立した車載半導体の研究会社。
同日開いた会見でオーブレーの並木社長は「両社の強みを生かし、次世代車載半導体の開発を推進したい」と述べた。
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日刊工業新聞 2023年05月12日