パナソニックHDが特許検索システムを外部公開する狙い
パナソニックホールディングス(HD)は保有する特許などの技術情報を外部から検索できるシステムを公開した。環境技術など目的別に検索できる。パナソニックHDはグループ全体で10万件以上の知的財産を保有する。ビジネス上活用していない休眠特許などの他社へのライセンスや共同研究・開発を促進し、新規事業の創出につなげる。三菱電機も同様の取り組みを実施しており、電機大手の知財を活用したオープンイノベーションが加速する。
パナソニックHDは2022年から同様の技術検索システムを社内向けに運用してきた。「1社のみで一気通貫でできる事業は少なくなっている。今回の取り組みを通じて他社との協業につなげたい」(パナHDの徳田佳昭知的財産部部長)。
外部公開するシステムでは、太陽電池や水素などの「環境技術」、センシングなどの「Well―Being技術」といったテーマを掲載している。技術の名称だけでなく、その技術を使って達成したい目的など276個の詳細分類を使って検索できる。
技術についての詳しい知識がなくても使えるようにする。事業化を目指す際、グループの技術者による支援も想定する。パナHDは二酸化炭素(CO2)の排出削減など環境負荷低減につながる技術を重点分野に位置付けている。外部の知見も生かし、脱炭素の取り組みと事業成長を進める。
電機業界では三菱電機が21年に、知財を起点に社外連携を推進する「Open Technology Bank(オープンテクノロジーバンク)」を開始。多様化する社会課題の解決に貢献する技術資産を専用ウェブサイトで公開し、さまざまな業種・領域にライセンス提供することで、社外との共創を積極的に推進している。
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日刊工業新聞 2023年09月12日