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パナソニックHD、中国の電子レンジ合弁解消の背景事情

パナソニックHD、中国の電子レンジ合弁解消の背景事情

パナソニックHDが中国で販売している電子レンジの例

パナソニックホールディングス(HD)は中国の電子レンジ事業の合弁を解消し、2024年以降は単独で展開する。中国での家電事業拡大の一環で、合弁相手の中国企業から株式を買い取る。同株式については中国家電メーカーのギャランツも取得を狙い中国の証券取引管理委員会に申し立てをしている。パナソニックHDは「全てのプロセスで関係規定に基づき客観的かつ公正に評価が行われている」としている。

合弁を解消するのはパナソニックAP電子レンジ上海で、中国の国営大手電機メーカーである上海儀電傘下の上海揚子江投資開発が40%出資。1994年に設立した。電子レンジや基幹部品のマグネトロンを生産し、中国向けのほか日本を含む各国に輸出している。合弁期限が24年に迫っており、上海儀電側と合弁解消で合意。委員会の判断が下り次第、上海揚子江からの株式取得を完了する。

上海揚子江は当初、合弁会社の株式の譲渡先を募り、電子レンジで世界的大手へ急成長したギャランツが取得の意向を示していた。ただ親会社の上海儀電が拒否し、パナソニックHD側への売却の方針でまとまった。

パナソニックHDは中国・北東アジアの事業強化に向け、25年3月期までの3年間で家電や空調機器、住宅設備など向けに総額500億円の設備投資を進めている。そのうち中国の家電事業では26年3月期に現在の5割増となる4500億円の売上高を目指しており、電子レンジ事業の強化もその柱となる。


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日刊工業新聞 2023年07月07日

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