オークマがAIで工作機械を高度化。ベテラン担当者でも難しい不具合を推測

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ボタン操作で設定も簡単

オークマは人工知能(AI)による工作機械の高度化を進めている。送り軸や主軸などの工作機械部位や工具の異常を診断する技術「OSP―AI」をユーザーに提供。自社工場の設備管理や製品の検査にも活用し、故障停止や工具経費の削減、品質の向上などに生かしている。AIベンチャーと共に高精度の金属加工技術のノウハウをAIでシステム化する研究などにも取り組んでいる。

世界初の試み

同社はOSP―AIを送り軸の診断用として2016年の日本国際工作機械見本市(JIMTOF)で披露した。工作機械用コンピューター数値制御(CNC)装置にAIを搭載した世界初の試みだ。

CNC装置のトルクや電流値のデータをAIが分析し、ボールネジや軸受の摩滅や傷などの異常を推測する。作業者は操作画面で対象の送り軸を1本ずつ選びボタンを押すだけ。ベテラン保全担当者でさえ発見が難しい不具合が検出できる。

17年には同技術を搭載したCNC装置「OSP―P300A」を発売した。深層学習(ディープラーニング)で診断性能を高めるサービスもオンラインで提供する。18年のJIMTOFでは主軸や工具のAI診断を提案。主軸のAI診断では振動センサーも追加し精度を高めた。

計画的点検保守

AI設備診断「OSP―AI」の画面

OSP―AIは17年から自社設備にも利用している。集中モニターで一括監視ができる体制を構築した。機械の状態の変化を早期に把握し、計画的な点検保守、故障停止の予防につなげている。

また製品の検査にも応用している。同社は出荷前に工作機械の駆動音に違和感がないかベテラン技能者が聞き分ける感応検査を全数で行い、形状計測では分からない微小な傷や組み立てのずれを検出する。この前工程にAI診断を加えた。

診断対象拡大

AIでの生産技術やサービスの高度化を担う研究開発部の上野浩AIプロジェクトリーダー(PL)は「より自信を持って出荷ができる」と説明する。今後はAI診断の対象を広げる考えだ。さらに「IoT(モノのインターネット)で収集する膨大な加工データの分析もしたい」(上野PL)と展望。入社1、2年目の若手技術者を対象に丸3日のAI研修を実施する。

社外との協業にも取り組んでいる。AIベンチャーのLIGHTz(ライツ、茨城県つくば市)が主導するプロジェクトに参加。異なる加工機や環境下で同じ品質の金属切削加工ができるAIシステムを開発する。(編集委員・村国哲也)


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日刊工業新聞2021年9月13日

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