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多植メモリー応用へ道…電気抵抗が最大10億倍に変化、東北大が熱で相変化する酸化物発見

多植メモリー応用へ道…電気抵抗が最大10億倍に変化、東北大が熱で相変化する酸化物発見

層状ニッケル酸化物における熱的相変化の概略図(東北大学提供)

東北大学の河底秀幸助教と松本倖汰博士、福村知昭教授らは6日、熱で相変化する酸化物を発見したと発表した。電気抵抗が100倍や10億倍に変化する。酸化物でのスイッチングは初めて。相変化の温度が下がれば、情報保持に電力を消費しない不揮発性メモリーなどへの応用が開ける。

ストロンチウムとビスマスを添加した層状ニッケル酸化物が三つの結晶相をとることを見いだした。この酸化物は岩塩構造とペロブスカイト構造が交互に並ぶ秩序相を形成する。

これを600度C以下で加熱すると無秩序相になり、700―900度Cに温めるとダブルペロブスカイト構造になる。

950度C以上に加熱すると元の秩序相に戻る。

電気抵抗は秩序相に比べて無秩序相は100倍、ダブルペロブスカイト構造は10億倍になった。二つの相を行き来するスイッチングに成功。相変化温度の低減や薄膜合成法を開発できれば、多値メモリーなどへの応用が開ける。

日刊工業新聞 2023年09月07日

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