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燃料電池触媒の耐久性向上、東北大が成功した意義

燃料電池触媒の耐久性向上、東北大が成功した意義

白金-ハイエントロピー合金 表面の断面顕微鏡像と各構成元素の分布(東北大学発表資料より)

東北大学の千田祥大大学院生と和田山智正教授らは、白金とクロム、コバルトなどの多元素を混ぜて燃料電池触媒の耐久性を向上させることに成功した。加速劣化試験で白金コバルト触媒に比べて3割ほど高い活性を維持した。

燃料電池触媒の白金使用量を低減できる可能性がある。

5種類以上の元素を混ぜて作る「ハイエントロピー合金」で触媒を作製。鉄やマンガン、ニッケルを加えて、現行の白金触媒から白金使用量を減らす。原子の並び方を精密に制御しながら触媒表面を作ると白金コバルト触媒に比べ高い活性を維持できた。分析すると触媒表面に白金が集まり、疑似的なコアシェル構造ができていた。これが耐久性向上に効いたと考えられる。白金コバルト触媒はコバルトが溶出し失活する課題があった。

日刊工業新聞 2023年08月02日

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