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EV電池格納の鋼製ケース、JFEが深絞り成形技術を確立した効果

独自工程で歪み均一化
EV電池格納の鋼製ケース、JFEが深絞り成形技術を確立した効果

JFEスチールのEV電池格納ケース

JFEスチールは電気自動車(EV)向けに、鋼製バッテリー格納ケースを量産する深絞り成形技術を確立した。従来より深い形状のため、より大きい、多くのバッテリーを搭載できる見通しだ。予成形と本成形という二つの技術を組み合わせた独自のプレス工程により、成形時の歪みを均一化した。防錆性や耐熱性を持ちながら、アルミニウム製のケースより安価に製造できる。将来の採用に向けて自動車・電池メーカーなどに提案していく。

鋼製バッテリーケースの製造には、JFEスチールの自動車用鋼板利用技術「JESOLVA」を活用した。EVの普及でリチウムイオン電池(LiB)の需要が増加する中、バッテリーケースの材料としてアルミを採用することが多い。

独自の深絞りが特徴

JFEスチールはコストや機能で優位性がある鋼製ケースの普及に向け、冷間プレス成形での技術開発を進めてきた。メッキ鋼板なら防錆性、耐熱性を確保できる。ただ絞り成形は従来法の場合、プレスする際に局所的に歪みが集中して割れが生じるという課題があった。

このため独自の組み合わせ技術により、均一に歪みを分散成形することにめどを付けた。複数工程のプレスにおいて、まず前工程で歪みを均一化する形状にプレス加工し、最終工程で製品の形状にプレス加工するという手順を踏む。

試作したバッテリーケースは、角形などをしたバッテリーセル(単体)を複数個パッケージングするためのケース。使用したのは引っ張り強度270メガパスカル級の鋼板、板厚は0・8ミリメートル。サイズは横1000ミリ×縦1500ミリ×深さ200ミリメートル。今後、顧客のニーズに柔軟に対応していく。


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日刊工業新聞 2023年09月07日

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