テスラ採用のEV車体一体成形技術、米谷製作所・共和工業が開発に挑む
米谷製作所(新潟県柏崎市、米谷強社長)と共和工業(同三条市、熊谷勇介社長)は、電気自動車(EV)の車体を一体成形する「メガキャスト」を開発し、2024年に同技術で使う超大型金型の提供を始める。車体部品やバッテリーケースの成形を想定する。米テスラなどが同様の技術を採用し、EVのコスト低減策として注目される。日本製の高品質を強みとして、自動車メーカーへの金型提供を目指す。
メガキャストはアルミダイカストでEVの車体全体を一体成形する技術。欧米や中国のEV生産で部分的に実用化が進む。テスラは約70点の部品で構成していた車体骨格部品をメガキャストにより1点に置き換え、コスト削減とともに車体剛性の向上につなげた。
米谷製作所と共和工業の取り組みでは、大型アルミニウム部品の成形時の型締め力で4000トン相当、最大寸法120センチ×100センチ×70センチメートルに対応する。
これまで米谷製作所は自動車エンジン用などのアルミダイカスト金型を、共和工業は自動車のインスツルメントパネル用などの超大型樹脂射出成形金型などをそれぞれ開発・製造してきた。メガキャストでは共和工業が部品の外形を作る主型を、米谷製作所が入れ子を製造する。
メガキャストの実用化には冷却時の歪みや空洞発生の課題がある。そこで冷却時の収縮を予測した金型形状の設計や成形時の空洞発生を防ぐため金型内を高度な真空にするなど、加工条件の研究を両社共同で進める。
共同研究に先立ち、米谷製作所は超大型マシニングセンター(MC)など約2億円の設備投資を実施。部品の内部形状を決める入れ子を最大210センチ×170センチメートルのサイズまで製造できる体制を整備した。同社は21年3月にジョージフィッシャー中国と技術提携しており、メガキャスト分野の技術情報交換を進める予定だ。
今後、アルミ合金・マグネシウム合金などの成形材料や表面処理分野の国内企業も研究に参加する予定で、次世代EV向けの生産技術確立を目指す。
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