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年6000万㎥生産へ…国内最大の合成メタン製造拠点、ENEOS・大阪ガスが建設

年6000万㎥生産へ…国内最大の合成メタン製造拠点、ENEOS・大阪ガスが建設

会見後に握手するENEOSの宮田副社長(左)と大阪ガスの宮川副社長

ENEOSと大阪ガスは29日、大阪港湾部で国内最大の合成メタン(eメタン)製造拠点を建設すると発表した。ENEOSが海外で調達した水素と、大阪ガスが三井化学など近隣工場から調達した二酸化炭素(CO2)からeメタンを合成し、都市ガスに混ぜて供給する。投資額は非公表。2030年には大阪ガスの都市ガス供給量の1%に相当する年間6000万立方メートルの生産を目指す。

国内で年間6000万立方メートルという大規模生産拠点は初めて。ENEOSの堺製油所(堺市西区)と大阪ガスの泉北製造所(堺市西区・大阪府高石市)の近隣に建設する見通し。25年ごろまでに設備の概要を詰め、27年ごろに建設する計画だ。

ENEOSが調達する水素は、再生可能エネルギーでつくる「グリーン水素」。これにトルエンを付加してメチルシクロヘキサンという液体に変換し、船で輸送する。液化のために極低温に冷やす手間が省け、常温常圧での輸送が可能になり、輸送コストが大幅に低減する。再生エネ電力が安価に調達できる豪州や東南アジアが調達候補地となる。

同日、東京都内で会見したENEOSの宮田知秀副社長は「既存のタンクや船が有効活用でき、初期投資を大幅に削減できる」と強調した。大阪ガスの宮川正副社長は「カーボンニュートラル達成のための重要な一歩」と述べた。

eメタンは燃焼によって排出されるCO2と、製造時に回収されたCO2がオフセット(相殺)されるため、大気中のCO2は増えない。水素とは違い、既存のガス供給インフラを利用できる強みがあり、ガス業界は30年に都市ガスに1%(3億6000立方メートル)以上注入する目標を掲げている。

国内外で商用化に向けた実証も進む。大阪ガスはINPEXと共同で24年度後半に新潟県で製造を始める。また東京ガス、東邦ガスなどと共同で米テキサス州で事業可能性を調査している。

日刊工業新聞 2023年08月30日

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