ビール4社1―6月期は全社増収増益、懸念の原材料費増の影響は?
ビール大手4社の2023年1―6月期連結決算(国際会計基準)が10日までに出そろい、売上収益と本業のもうけを示す事業利益段階では全社で増収増益となった。コロナ禍後の外食需要増などで業務用ビール(樽・瓶)の回復が顕著で、価格改定効果も加わり、原材料などのコスト増を吸収、さらに上回った格好だ。通期についてアサヒグループホールディングス(HD)が上方修正し、それ以外は期初の見通しを据え置いた。
サントリーHDの宮永暢常務執行役員は「酒類セグメントはコロナ禍後の業務用の改善などで売上収益は前年同期比13・8%増の6422億円」と強調。アサヒグループHDの﨑田薫取締役最高財務責任者も「プレミアム戦略の進行や価格改定の効果もあり、過去最高業績を更新した」と足元の好調さを示す。
懸念されていた原材料などのコスト増についてキリンHDの秋枝真二郎常務執行役員は「燃料など想定を下回ったモノもあり原材料コストアップは年間500億―550億円の見積もりを460億―490億円に下げられそう」と見通す。﨑田アサヒグループHD取締役も「上期のコストアップは550億円弱で予想を下回った」とし、コスト増が想定内にとどまったことで利益を押し上げた。
一方、キリンHDは連結除外となったミャンマー事業の株式売却損として194億円をその他営業費用に計上し営業減益。また、サッポロHDも米子会社のアンカー・ブリューイング・カンパニー(カリフォルニア州)の解散を決めており、約53億円をその他営業費用で計上し営業損失が拡大した。
通期見通しではアサヒグループHDが価格改定の浸透やスポンサーであるラグビー・ワールドカップのキャンペーン効果などを加味し期初予想に比べ売上収益は据え置き、事業利益を90億円増の2540億円、当期利益を35億円増の1610億円にそれぞれ上方修正した。