“宇宙ステーション向けシャワー”開発中!宇宙旅行産業で展開へ
サイエンス(大阪市淀川区、水上康洋社長)は、宇宙ステーション向けシャワーの開発を始める。同社は直径1(マイクロは100万分の1)マイクロメートル未満の微細気泡「ウルトラファインバブル(UFB)」で洗浄力を高めたシャワーヘッドを製造販売しており、今夏の実証実験で低重力環境におけるUFBを含む水滴の特性などを調べる。宇宙空間では水資源が限られるため、少量の水で汚れを洗い落とせるシャワーの需要を見込む。2025年の実用化を目指す。
9月に行う予定の実証では、小型の気球を成層圏まで飛ばし、上空で破裂・落下させることで疑似的に低重力環境を作る。気球に取り付けた装置の中でUFBを含むシャワーを噴霧し続け、落下中の水滴の状態などを調べる。宇宙向けシャワーの性能に必要な機構も検証する。
開発への投資額は詰めているが「最低でも数億円の見込み」(青山恭明会長)。まずは国内の宇宙産業向けを想定し、将来は宇宙旅行産業での展開も目指す。
青山会長は「UFBで洗浄力を高めれば洗剤を使わずにすみ、宇宙ステーション内で水を再利用しやすくなる」と利点を訴える。
UFBは気泡表面がマイナスに帯電する性質を持ち、界面活性作用がある。汚れを吸着するため産業分野では半導体の洗浄などに使われてきた。サイエンスはこの特性に注目し、UFB発生機構を備えるシャワーヘッド「ミラブル」などの製品を製造販売する。
日刊工業新聞 2023年08月07日