「イプシロンS」24年打ち上げへ…JAXAが明かしたサブシステムの特徴
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、改良型の小型固体燃料ロケット「イプシロンS」のサブシステムの特徴を明らかにした。分離時に発生する衝撃を低減する分離機構や送受信機の統合、アンテナ機器を集約することで信頼性向上や低コスト化を目指す。また既存の「イプシロン」と大型基幹ロケット「H3」の技術を適用し、固体モーターを強化。燃焼実験を複数回実施し、機能や性能に関するデータの取得・解析を進める。
各段のモーターや分離機構、フェアリングなどのロケット全体のサブシステムについて改良を施し、基幹ロケットの信頼性を高める。
またサブシステムは小型・軽量化や機器構成の単純化を重視し、他のロケットや同機内の部品や機器と共通化することで開発を効率化する。例えば、ロケットの位置や速度を計測する「冗長複合航法システム」は、H3に搭載したシステムを採用した。
イプシロンSはイプシロンの後継機。競合ロケットと同程度以上の機能を持ち、年2機以上、契約から1年以内で打ち上げる仕組みにすることで、世界の小型衛星の打ち上げ市場で競争可能な価格帯を目指す。イプシロンS実証機は2024年度にJAXAが打ち上げ、それ以降は民間に移管する予定。
日刊工業新聞 2023年07月08日