レゾナック・三井化学・住友化学…化学メーカーが「ケミカルリサイクル」活発化
化学メーカーのケミカルリサイクルの動きが活発化している。レゾナックは川崎事業所(川崎市川崎区)で廃プラスチックを原料にアンモニアなどを製造する。三井化学は廃プラ由来の熱分解油(廃プラ分解油)を使ったケミカルリサイクル製品の生産と販売に乗り出す。住友化学は愛媛県新居浜市と連携する。環境対応の重要性が増している中、各社はケミカルリサイクルに関わる取り組みに一段と力を入れる。
ケミカルリサイクルは廃プラなど使用済み資源を燃やさずに化学的に処理し、原料などに転換して再利用する手法だ。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)やサーキュラーエコノミー(循環型経済)実現の重要性が高まる中、廃プラの焼却量などを減らせれば、環境負荷の低減につながる。
レゾナックは川崎事業所で廃プラを原料にした水素、アンモニア、アクリルニトリル(AN)で持続可能な製品の国際認証制度「ISCC PLUS認証」を取得した。今後、マスバランス方式での販売に向けて取引先と調整を進める考えだ。伊藤忠商事と使用済みのプラスチック・衣類を生かしアンモニアなどにリサイクルする取り組みで協力する。レゾナックはアンモニア生産の原料の約半分は都市ガスだというが、2030年までをめどに全量を廃プラにしたい考え。
三井化学も廃プラ分解油を原料に化学品やプラスチックの生産、販売に乗り出す。CFP(広島県福山市)から廃プラ分解油を調達し、大阪工場(大阪府高石市)のナフサクラッカーに入れて、誘導品を生産する。24年3月までに「ISCC Circular認証」を取得し、マスバランス方式による販売を目指す。一方、ケミカルリサイクルの拡大には、新たな事業化の動きや、連携による訴求などの動きも重要性が増しているようだ。
三菱ケミカルグループは自動車の内装部品などに使われるポリカーボネート(PC)樹脂のケミカルリサイクルの事業化に向けて検討を始めた。実証実験を経て30年に年間1万トン規模を処理する設備を稼働し、事業化を目指している。
住友化学は愛媛県新居浜市と連携し、飲食店など市内の事業者で不要になったアクリル製飛沫防止板の提供を呼びかけ、愛媛工場(新居浜市)に整備したアクリル樹脂のケミカルリサイクル実証設備を活用してリサイクルする。キーホルダーなどを作り、市内の小学校などに贈呈し資源循環の意識向上につなげる。
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