イタリア高速鉄道向け線路・デジタル信号設計、日立が約2800億円で受注
日立製作所は1日、同社が参画する企業連合がイタリアで高速鉄道路線向けの線路やデジタル信号システムの設計・導入業務を受注したと発表した。日立は欧州共通の列車制御システムである欧州鉄道交通管理システム(ERTMS)を納入する。企業連合としての受注総額は18億ユーロ(約2800億円)。日立の受注額は非公表だが、約480億円とみられる。
日立の子会社である日立レールと、イタリアの建設会社であるウィビルド・グループで構成する企業連合がイタリアの鉄道インフラを管理するレーテ・フェロヴィアリア・イタリアーナから受注した。
イタリア北部のヴェローナ―パドヴァ間(76・4キロメートル)を結ぶ高速鉄道のうち、ビチェンツァ近郊の線路区間約6・2キロメートル分の受注となる。
ERTMSは最先端の鉄道デジタル制御システムで、列車と地上設備の間を無線信号によって速度を監視する。危険の察知や列車が線路の制限速度を超えた場合、列車の非常ブレーキを自動的に作動する。列車間の距離を短くすることも可能なため、より多くの列車を安全に運行できる。
欧州共通の規格のシステムであるため、国境を越えた鉄道運行も可能となり、周辺国から来る列車が停止することなく国境を通過し、イタリア国内を運行できるようになるという。
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日刊工業新聞 2023年08月02日