JALが国内航空会社として初、量子コンピューティング技術で最適化するモノ
日本航空(JAL)は、国内航空会社として初めて量子コンピューティング技術を使い航空機の運航整備計画を最適化する。ベテラン社員が膨大な時間をかけていた計画策定を、自動的かつ短時間に行えるようにする。エー・スター・クォンタム(東京都港区)と共同で最適化アプリケーションを開発し、2024年9月頃から使用する。
量子コンピューティング技術は、微細な粒子である量子独特のふるまいを利用し、複雑な最適化問題を高速に解ける新しい計算技術だ。量子が複数の状態で同時に存在する“重ね合わせ”や、一つの量子の状態が決まると関連する別の量子の状態が決まる“量子もつれ”を利用する。計算には量子コンピューターやこれを模擬した専用計算機を用いる。
今回の開発はJALベテラン社員が持つ運航整備計画のノウハウを電子化した上で、量子コンピューティング技術などを活用して運航整備計画策定アプリケーションを開発する。運航整備計画は機材の使用状況や整備士の数、整備項目の期限、格納庫の収容数など膨大な制約条件を加味する必要がある。従来のコンピューター技術では運航ダイヤの急な変更に合わせた計画策定は困難だった。
日刊工業新聞 2023年08月01日