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ANA・JALに勝負の夏!前年比50ー70%増便、特に好調な路線は?

ANA・JALに勝負の夏!前年比50ー70%増便、特に好調な路線は?

ANAは総2階建ての大型旅客機・エアバスA380「フライングホヌ(空飛ぶウミガメ)」を成田-ホノルル間で定常運航している

新型コロナウイルス感染症による行動制限のない夏休みを前に、旅行の“足”となる航空便数の回復が進んできた。全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の航空大手2社は2023年夏休み期間の国内線の便数を19年比で90%以上、国際線も60―80%の水準に回復させる。22年と比べると50―70%増と大幅に増やす。新型コロナ前の日常を取り戻し、景気刺激にもつなげられるか。重要な夏となる。(梶原洵子)

ANAは8月の北米路線の便数が19年と同数に、国内線は92・4%、中国を除くアジア路線は74・6%に回復させる。特に好調が見込まれるのはハワイ路線だ。すでに直近の搭乗率が90%を超えている。夏休みは成田空港と羽田空港からの合計で1日3往復の運航を計画する。7月21日から8月末までの夏休み期間のハワイ路線の予約数は現時点で前年の約5倍、19年の80―90%の水準となっているという。

このほかでは、アジアや欧米方面からの訪日や、日本で乗り継ぐ「3国間流動」が好調だ。3国間流動は北米―アジア間に加え、「足元は北米―中国間の流動も取り込めている」(ANA広報)という。日本を出発する便はハワイやバンコク、台湾、韓国から回復が進んでいる。また、国内線は羽田発着便が新型コロナ前の水準に完全に回復した。

JALの8月の国内線の便数は新型コロナ前を上回る計画で、19年比は105・8%となる。国際線も地域別は非公表ながら、同76・3%まで回復させる。直近では、5月に関空―浦東(上海)便や名古屋―天津便を再開させたほか、羽田―ニューヨーク便を増便した。また、6月には羽田―大連便を開設、7月には羽田―浦東(上海)便を増便した。

現在、中国は団体での訪日旅行を解禁していないが、航空各社は複便を着々と進めている。インバウンド(訪日外国人)需要の面で、中国側の解禁が待たれるところだ。

日本では5月に新型コロナ感染症が感染症法上の「5類」に分類され、この2―3カ月後の今年の夏休みは今後の旅行需要を占う上で重要な期間となる。JTBが公表した23年夏休みの旅行動向調査によると、国内旅行人数は19年比100・1%を見込む。海外旅行は同39・6%と低い水準ながら、22年比では2倍超を予想する。都内のパスポートセンターは、ホームページで「日曜日の受け取りは2時間待ち」と案内しており、海外旅行意欲も回復しているようだ。

ANAとJALを含む航空各社は、例年7月下旬にお盆期間の予約状況を公表する。実際にどこまで予約が回復するか注目される。

日刊工業新聞 2023年07月19日

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