パイロットなしの「空飛ぶクルマ」社会実装へ、JALが提携した米社の正体
日本航空(JAL)は10日、パイロットが搭乗しない“空飛ぶクルマ”の社会実装をにらみ、整備管理などの制度確立に向けた検討について米ウィスク・エアロと協力すると発表した。現在準備を進めているパイロットありの空飛ぶクルマよりも先の将来を見据えた取り組み。JALは調査・検討結果を国へ提言し、同機体の実用化へ貢献したい考えだ。
ウィスクは、米ボーイングと米キティホークの合弁会社。電動垂直離着陸機(eVTOL)型の無操縦者航空機を開発しており、数年内の事業化を目指している。JALとウィスクは同機体について、日本での安全運航に向けた制度や体制の検討、実証飛行に向けた準備に関する検討、航空局認証取得に関する連携・協力を行う。
JALはこれまでに培った安全運航のノウハウを生かす。具体的な制度設計や整備に関する連携・協力は、航空機整備を担うJALエンジニアリング(東京都大田区)が行う。
ウィスクは同機体の開発を10年以上続け、1600回以上の試験飛行を行っている。
JALは空飛ぶクルマの実現に向けて、多様な企業と連携している。機体メーカーでは独ボロコプターとも協力しており、2025年の大阪・関西万博では、同社と組んでパイロットありの空飛ぶクルマを運営する。また、離発着場所(ポート)の設置では三菱地所と協力している。
将来技術であるパイロットなしの空飛ぶクルマについても検討を進めていく。
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日刊工業新聞 2023年05月10日