ゴム再生処理2倍に増強…豊田合成が生かす技術
豊田合成は2023年度内にも森町工場(静岡県森町)で、自動車の窓枠などに使うゴムの再生処理能力を2倍に引き上げる。2本目の再生処理ラインを整備し、既存ラインと合わせた処理能力を年1200トンにする。製造工程で出たゴム端材などを使い、自動車部品に再利用する「水平リサイクル」を進める。廃棄物量の低減とともに、リサイクル材の活用で材料の安定確保にもつなげる。将来は他社のゴム製品の再生も視野に入れる。
森町工場は自動車のドアや窓の縁に取り付けて風雨・ホコリの浸入や騒音を防ぐゴム部品「ウェザストリップ」の主力生産拠点。21年に同工場の一角で廃棄ゴムを再資源化する専用施設を本格稼働した。現在1ラインが稼働し、年間約600トンの廃棄ゴムを再生する。25年度には3本目となるラインを追加し、処理能力を同1800トンに増強する計画だ。
豊田合成のゴムリサイクル工程は、ゴムに弾性などを持たせるための分子結合を解いて原材料に戻す「脱硫再生」と言われる技術が特徴。自動車部品の製造過程で出た端材や規格外品を破砕し、金属を取り除いた後、ゴムと硫黄化合物の結合を切断し原材料に戻す。脱硫工程にかかる時間は10分程度と短く、高品質な再生材を生み出せる。
現在はウェザストリップ製品に数%のリサイクル材を配合している。強度向上などの課題はあるが、配合比率の引き上げも狙う。
30年までに自社だけでなく、他社のゴム製品のリサイクルにも乗り出す。社会貢献としての側面とともに、事業として収益を生み出せるようにする。
一方、さらなる二酸化炭素(CO2)削減には廃車からゴムを回収し、リサイクル製品とする循環システムも必要になる。豊田合成のみでは実現が難しく、さまざまな企業と連携するなどして、リサイクルの裾野拡大と事業モデルの確立を目指す。