世界トップクラスの高電圧・高速動作、豊田合成などGaNパワー半導体開発
豊田合成はパウデック(栃木県小山市、成井啓修社長)と共同で、高電圧・高速動作の窒化ガリウム(GaN)パワー半導体を開発した。GaNパワー半導体は高速だが、高電圧への対応が課題だった。2社が開発した半導体はこれを両立する。駆動回路基板に搭載すると800ボルトで、100万分の1秒でのオン・オフ動作を実現する。今後、耐久性や品質に磨きをかけ、早期の実用化を目指す。
今回、両社は縦6ミリ×横4ミリメートルのGaNパワー半導体を開発した(写真)。駆動回路基板に搭載した場合、世界トップクラスの高速動作と高電圧化を実現した。同事業は環境省の「革新的な省CO2実現のための部材や素材の社会実装・普及展開加速化事業」の支援を受けている。
パワー半導体は電気を流したり止めたりするスイッチの役割を持つ。GaNを活用し高速動作を実現することで、スイッチ切り替え時のエネルギーロスを低減できる。また、パワー半導体を制御する電子部品の小型化にもつながる。
パワー半導体は現在シリコン(Si)が主流だが、高速性や耐圧に限界がある。より低損失な炭化ケイ素(SiC)やGaNを活用した次世代半導体の開発・普及が期待されている。
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日刊工業新聞 2023年月6月27日