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ヤマハ発動機と水上バイク用部品開発、日本製紙はCNFの総合メーカーになる

ヤマハ発動機と水上バイク用部品開発、日本製紙はCNFの総合メーカーになる

日本製紙のCNF強化樹脂を使って3Dプリンターで成形したサンプル

日本製紙は木材パルプ由来の新素材を樹脂と混練・分散したセルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂で、粉末床溶融結合(PBF)方式の3次元(3D)プリンター専用の材料を開発した。富士革新素材研究所(静岡県富士市)の実証設備で手がけ、プラスチックの使用量削減を図る特注の自動車部品や福祉用具、住設機器向けにサンプル提供する。同社はさまざまな用途に応える多彩な商品構成、供給形態を整え、CNFの総合メーカーを目指す。

PBF方式の3Dプリンターは数ある3Dプリンターの中でも高強度の成形が可能で、生産性やカスタマイズ性に優れ、多様な材料を使用できる。日本製紙が開発した専用のCNF強化樹脂は、従来一般的な3Dプリンター用材料のガラスビーズ入りポリアミド6(PA6)に比べ、成形品が均一、軽量でリサイクル性が高いという。

このため金型を廃棄した自動車部品やユーザーによって微調整が必要な福祉補装具など、大量生産ではなくオーダーメード品への適用を狙う。サンプル供給し、客先で検証しつつ販売計画を詰める。

同社が現在販売しているCNF強化樹脂「セレンピアプラス」はPA6などと少量のCNFを均一に混練・分散させた。現在、実証生産中で、ヤマハ発動機とは水上バイク向け部品の開発を進めるなど、ユーザーへの供給準備を進めている。

今回の3Dプリンター用CNF強化樹脂は、従来の知見をもとに、細かい樹脂粒子が必要なプリンターに適用させたもので、環境省の「ナノセルロースビークル(NCV)プロジェクト」における京都大学の研究がベースとなっている。

PBF方式の3Dプリンターは、予備加熱槽に成形用粉体を入れて加熱。少量ずつ成形槽に流し込み、レーザー照射で材料を溶融させる動きを繰り返して成形する。

日刊工業新聞 2023年月6月20日

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