北越コーポ・三菱製紙…組織改編する製紙メーカー、需要変化に対応できるか
製紙各社は2023年度を迎え、洋紙から機能品へ、従来品から環境配慮商品へと高付加価値化を進めるための組織改編を行った。北越コーポレーションは工場を営業本部と並列の関係にし、収益管理を徹底。三菱製紙は岩手県北上市の生産子会社を吸収合併し、事業部と工場を一体運営する。需要構造の変化に合わせ、生産コストが膨らんだ現状から脱却するため、販売子会社への事業集約、新事業構築に向けた戦略的組織を立ち上げるケースも目に付く。
北越コーポレーションは1日付で、事業本部を廃止して洋紙・白板紙と機能材の2営業本部を設け、工場を独立させた。それぞれの役割を明確化する体制に移行し、顧客サービスを向上させるのが狙いだ。「洋紙・白板紙関連は顧客の業態に合わせた従来の組織を、商材別に転換した」(広報室)。
三菱製紙は紙・パルプを扱う完全子会社、北上ハイテクペーパー(岩手県北上市)を吸収し、「北上工場」に改称。北上など東北2工場を紙素材事業部、関西2工場を機能商品事業部へとひも付けた。
本社にはコーポレート・ガバナンス本部や企画管理本部を新設。営業機能は、販売子会社の三菱王子紙販売(東京都墨田区)に順次集約していく。
伸びる分野を強化する組織改革を行ったのは日本製紙。紙パック営業本部にデザインマネジメント室を新設、営業統括部の一角にあったデザイン業務を昇格させた。
技術本部のリサイクル推進室を営業企画本部内に移管し、顧客との接点を強める。さらに白板・包装用紙営業本部内の紙器、紙カップの販売業務を傘下の日本紙通商(東京都千代田区)に移した。プラスチックの使用量削減や脱炭素化が叫ばれる中、環境配慮型の周辺商材と総合的に提案するのが得策と判断した。
新規ビジネスを育成する組織の設置も相次ぐ。特種東海製紙は松田裕司社長が「成長施策推進センター」のトップに就任。北越コーポレーションの「プロフィットマネジメント室」は、経営的な目線から利益・サービス両面で最適な事業ポートフォリオなどを検討する。
日本紙通商は卸商、直需、新聞出版用紙の3本部を廃止し、新たにペーパーメディア第一、同第二の2本部を設置した。新生紙パルプ商事(東京都千代田区)は営業統括本部の企画部門を部に昇格させ、投資によって海外展開を進めていく。