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スマホ主要素材を全量再生材に…アップル副社長が都内で語った戦略

スマホ主要素材を全量再生材に…アップル副社長が都内で語った戦略

アップルのジャクソン副社長

米アップルはスマートフォンなどの製品に用いる主要素材全量を再生材に切り替える。同社のリサ・ジャクソン副社長は8日、都内で国会議員に対して同社の環境戦略を説明し「リサイクルによって(資源の)採掘ゼロとなる社会を目指す」と表明した。サプライヤー(取引先)に再生可能エネルギーの活用を呼びかけており、今後は再生材の利用も取引継続に必要となりそうだ。

ジャクソン副社長は、国会議連「超党派カーボンニュートラルを実現する会」の勉強会に呼ばれて説明。冒頭で「気候変動ほどの危機は他にない」と、脱炭素化に取り組む強い決意を語った。

アップルはコバルトや金、スズなど14種の素材を優先物質に指定して推進しており、2023年発売の新製品の充電池には再生リチウムを採用した。ジャクソン副社長は「25年までにコバルト再生100%を目指す」とした。完全なリサイクル達成には取引先の協力が欠かせず、日本企業も再生素材を用いた部品の開発が商機となる。

また同社は2018年、事業活動全般の温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を達成。取引先に対し、アップル向け部品を再生エネ100%で製造するように働きかけている。日本の34社を含む主要取引の250社は30年までの再生エネ100%化に賛同したという。

達成には「各国政府の政策が重要で、今後は洋上風力の普及が必要になる」とし、日本企業が再生エネを調達しやすい環境整備を議員に訴えた。

議連は、温暖化対策強化を求める企業グループ「日本気候リーダーズ・パートナーシップ」と国会議員との交流会をきっかけに4月に設立された。今回の勉強会について、笠井亮衆院議員は「日本の政治が何をしないといけないのか、受け止めたい」と話した。


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日刊工業新聞 2023年06月09日

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