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中古スマホ販売を過去最高に押し上げたiPhoneの影響力

MM総研(東京都港区、関口和一所長)がまとめた中古スマートフォンの国内市場調査によると、2021年度の中古スマホの販売台数は前年度比14・6%増の212万台で過去最高を更新した。大手通信事業者によるiPhone(アイフォーン)の値引き競争の激化に伴い、1円などで販売されたアイフォーンが新品未使用品として中古市場に流れたことが市場活性化につながった。用途に応じて端末を使い分ける複数端末利用の増加なども市場拡大を牽引(けんいん)した。

21年夏から22年春頃にかけて、大手キャリアは回線契約にひも付かないかたちでアイフォーンの本体価格を大幅に引き下げた。また、他社からの乗り換えや新規契約などには値引きを追加するなどの施策を展開したことで、最安では一括1円での販売も行われた。MM総研は「国内の中古市場で新品未使用のアイフォーンが数多く販売されるようになっただけでなく、海外中古市場にも多くのアイフォーンが流出した」と分析する。

また、アンドロイドスマホでは低価格端末の需要が拡大しており、2万円から3万円台のモデルが人気を集めている。だが、端末購入費は抑えつつ、スペックの高いスマホを利用したいという理由から、これまで中古スマホを購入してこなかった層が、選択肢として視野に入れるようになったことも中古スマホ市場の拡大要因となっている。

さらに、用途に応じて使い分けたい、あるいは契約している複数の回線ごとに端末を分けて利用したいと考えるユーザーがいることも一要因としている。

MM総研は22年度の販売台数を前年度比13・7%増の241万台、26年度は同6・9%増の342万台に拡大すると予測している。

日刊工業新聞2022年8月17日

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