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EV市場に参入したソニー・アップルの狙いはどこか

アナリストが見通すモビリティのミライ #05・新規参入
世界のモビリティー産業がカーボンニュートラル達成に向けてアクセルを踏んでいる。しかし、エネルギー不足や半導体の供給不安などを背景に市場の見通しを見極めることは難しい。そこで、モビリティー産業の動向を調査するS&P Global mobilityのアナリストたちに未来を見通す上で持つべき視点などを語ってもらう。

コロナ禍によるサプライチェーン混乱や、ロシアによるウクライナ侵攻に伴うエネルギークライシスなどを背景に、自動車市場の不透明感は続いている。一方、世界的な電動化の流れを背景に新規参入が相次ぐ。S&Pグローバル・モビリティーの日本・韓国ビークルセールス・フォーキャストマネージャーの川野義昭氏やプリンシパルリサーチアナリストの渡辺司氏、オートモーティブニューモビリティープリンシパルアナリストのマリオ・フラニチェヴィチュ氏が市場の展望を語る。

新車購入の余力をさらに圧迫する可能性がある/川野義昭氏

半導体不足などの状況下で、国内総生産(GDP)成長率の低下や金利・価格上昇などが進み、経済状況は悪化している。車両の供給を待つ顧客は、購入を先送りする段階になりつつある。そのため、経済成長予測の鈍化や商品・原材料価格の高騰による購買力への圧迫からくる需要破壊が中長期的にも市場に加わり始める。結果として自動車価格を押し上げ、新車を購入する余力をさらに圧迫する可能性がある。

川野 義昭氏

一方、依然として新興国市場の新車需要や、成熟市場の買い替え需要を中心に世界の自動車販売市場は中長期における緩やかな成長を続けるとみられる。

パワートレイン電動化の準備進む/渡辺司氏

日本の自動車メーカーは、パワートレインの電動化の準備を進めており、他の自動車メーカーやサプライヤーとの提携を活用して、グローバルな採用を加速している。ただし、日本メーカーが対象とする地域は多様で、電動化の進展状況が異なる。そのため、日本メーカーの電動化への取り組みが、競合他社よりも遅いように見える独特の状況が生まれている。

日本メーカーが長期的ビジョンに基づいて、汚染と温室効果ガス(GHG)を削減するため総合的な対策を進めている。日本メーカーは電動化に向かっており、安全性や信頼性、耐久性が非常に重要であることを理解している。

ソニー・アップルの狙い/マリオ・フラニチェヴィチュ氏

ソニーは、「ソニー・ホンダモビリティ」と呼ばれるホンダとの合弁事業を設立し、市場参入を果たした。米アップルは自動運転車に取り組んではいるが、本当に車を生産するつもりがあるのかどうかはまだ分からない。

EV参入企業は多岐に渡るが、それぞれの動機は大きく異なる。ソニーは韓国・中国系ブランドからの圧力を受けて家電業界では苦戦しており、この参入を自動車業界で新たなビジネスモデルを開くチャンスと見ている。

ソニーの常務であり、ソニー・ホンダモビリティの社長兼最高執行責任者(COO)に就任した川西泉氏がメディアに語った言葉『EVを無視するリスクのほうが、EVがもたらす課題よりも大きいと判断した』がその動機を非常によく表している。

マリオ・フラニチェヴィチュ氏

カーエンターテイメントや UI/UXコンポーネントは増加し続けており、ソニーは自社車両に家電製品の専門知識を統合することで利益を得るようになる可能性もある。そして、得られた経験により、第2のステップとして、他の完成車メーカー(OEM)に対するティア1サプライヤーへと生まれ変わる可能性もある。ただし、これは主観的な分析の結論であり、専門情報に基づくものではない。

一方、アップルは車両の構築や、それを新たな技術 (Apple Software、機械学習、自動運転車技術) の統合によって強化しようと努めているが、技術とソフトウエアのプロバイダーとしての働きに留まるかもしれない、というのが共通認識だ。

問題は、アップルが非常に高く設定することで知られるその収益性を、厳しいことで知られている自動車業界のレベルまで引き下げる意思があるかどうかだ。アップルにとっては、ソフトウエアとデータの所有者として行動するほうが機会は多くなる。しかし、同社の最終的な動機はまだ明らかにされていない。

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世界のモビリティー産業がカーボンニュートラル達成に向けてアクセルを踏んでいます。しかし、エネルギー不足や半導体の供給不安などを背景に市場の見通しを見極めることは難しくなっています。そこで、モビリティー産業の動向を調査するS&P Global mobilityのアナリストたちに未来を見通す上で持つべき視点などを語ってもらいました。

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