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京セラが個人スマホ撤退…「通信機器」早期に黒字転換へ

京セラが個人スマホ撤退…「通信機器」早期に黒字転換へ

京セラが手がけるスマートフォンやフィーチャーフォン

京セラは個人向けのスマートフォン事業を縮小し、法人向け通信機器事業を拡大する。2025年3月末までに汎用的な個人向けスマホ販売からは撤退し、高耐久スマホや従来型の高機能携帯端末(フィーチャーフォン)など法人向けにも需要があり独自性が発揮できる端末に特化。一方で第5世代通信(5G)インフラ関連機器市場に参入する。営業赤字に落ち込む通信機器事業を24年度中には黒字転換し、28年度までに営業利益率を14%以上に高める計画だ。

京セラは現在、日本と北米向けで約20機種のスマホやフィーチャーフォンを展開している。高耐久スマホは作業現場などでの使用に適し、個人・法人の両方からニーズがあるものの、汎用スマホについては価格競争が激しく、性能や機能による差別化も難しいのが実情。そのため機種を絞り込むことで、事業採算性を高める。

法人向けでは端末に加えてインフラ機器の品揃えも拡大する。特に5G機器などで製品開発を進めており、電波の進行方向を望む方向に変更できる透過型のメタサーフェス屈折板や、電気信号を増幅・再生成することで送信元の信号を再現・伝送するリピーターなどの通信デバイスを24年度以降、順次市場投入していく計画だ。

法人向けの端末事業では、防災用や店舗用タブレットなど顧客ニーズにカスタマイズした製品を展開。さらに22年には、伊藤忠商事系で中古携帯端末の流通事業を展開するBelong(東京都港区)と協業し、法人向け携帯端末の販売・レンタル、買取事業も始めている。

飯野晃執行役員通信機器事業本部長は「通信機器事業の売上高比率は現在、個人向けと法人向けで半々だが、将来は法人向けを約8割に持って行きたい」と見通す。

日刊工業新聞 2023年月5月16日

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