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中型油圧ショベルを中国から欧州へ輸出、日立建機の思惑

中型油圧ショベルを中国から欧州へ輸出、日立建機の思惑

安徽省合肥市に立地する中国工場

日立建機は中国工場から、欧州向けに20トン以上の中型油圧ショベルの完成車の輸出を始めた。欧州向けはこれまでも少数輸出していたが、13トンの小型ショベルが大半で、ボリュームクラスである20トン車は輸出していなかった。中国での建機需要の落ち込みで工場に生産余力があることに加え、鋳物や製缶部品などが安く調達できることが背景にある。

これと並行して、インドネシア工場からも中東アフリカ諸国向けに、従来の20トン車に加えて新たに13トン車の輸出も始める。

日立建機は2022年3月から米州で建機の独自展開を始め、米州事業の拡大を最優先課題に掲げている。中国やインドネシア工場から輸出を増やすのは国内工場が米州向け供給で手いっぱいで、余力のないことが理由。

中国工場は安徽省合肥市に立地し、生産能力は年間約2万台。中国での売上金額は22年度が前年度比23%減の400億円、23年度はほぼ横ばい予想も、不動産市場の低迷や建機の供給過剰のために「足元は非常に厳しい」(先崎正文社長)状況という。

建機は車体コスト全体に占める鋳物や製缶部品の割合が高い。中国はこれらが安価に調達でき、取引業者の層も厚い。「中国工場のライン増強を行う計画はないが、人員を増やせばより多くを生産できる」(同)とし、人員増強を行う方針だ。

インドでも人員を増やす計画。最近になり国内需要が持ち直しているためだ。中国、インドネシア、インド3工場からの合計輸出台数は22年度約3800台から、23年度は5300台へ増やす。


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日刊工業新聞 2023年05月12日

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