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建機を脱炭素化…「再生油・バイオ燃料」実証にアクセル

建機を脱炭素化…「再生油・バイオ燃料」実証にアクセル

アクティオなどが取り組む実証実験で採用する「リニューアブル・ディーゼル燃料」

建設機械各社で、建機燃料に再生油やバイオ燃料の活用を試す動きが広がっている。アクティオ(東京都中央区、小沼直人社長)は竹中工務店や伊藤忠エネクス(同千代田区)と共同で、廃食用油や廃動植物油を原料とするリニューアブル・ディーゼル燃料(RD)の実証実験を始めた。日立建機日本(埼玉県草加市)は鴻池組や富士興産などと、軽油代替燃料の高純度バイオディーゼルB30燃料を使う実証実験を開始。コマツや酒井重工業も実験の動きを進めている。(編集委員・嶋田歩)

アクティオなどの実証実験は、伊藤忠エネクスが開発したRDを大阪・関西万国博覧会の関連工事で使用する。建機や重機にRDを使って、通常の軽油ディーゼルと比べたエンジンへの影響などのデータを収集する。RDは燃焼時に煤(すす)を出さない利点があり、カーボンニュートラル温室効果ガス排出量実質ゼロ)燃料として期待されている。

日立建機日本などは京都府京丹波町内の埋め立て地工事で、建機向けで軽油に高純度バイオディーゼル油を3割混ぜたB30燃料を使用する。軽油との燃費比較、定期点検による使用機械への影響、排出ガス分析による環境影響を1年間かけて検証する。二酸化炭素(CO2)削減とともに、黒煙の排出による大気汚染も抑えられる。

コマツは欧州で、生産した建機を工場から出荷する際の充てん燃料に水素化植物油(HVO)を使う取り組みを始めた。HVOは植物由来のため、軽油に比べCO2排出量を最大9割低減できるという。

酒井重工業もロードローラーなどでバイオ燃料使用を計画する。工場のあるインドネシアは近隣にパームやしの森林が豊富にあるため、「安い調達コストを利用してパーム油を使用した実験を検討したい」(吉川孝郎執行役員)とする。

建機各社がバイオ燃料や再生油に力を入れる背景には、客先の環境意識の高まりがある。CO2削減の本命は電動ショベルや水素エンジンショベルだが、価格が一般機の3―4倍か、それ以上と高く、燃料補給インフラの課題もある。バイオ燃料は軽油よりは価格が高いものの、ディーゼルエンジンをそのまま利用できるため車体改造など追加投資が要らない利点がある。

日刊工業新聞 2023年05月09日

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