政府が支援検討、「蓄電池産業」に9000億円の内訳
経済産業省は蓄電池産業の強化に向けて、9000億円の財政支援を行う方向で検討している。2030年までに国内の生産能力を現状比約8倍の150ギガワット時とする目標を掲げており、工場の設備投資や、蓄電池に必要な資源確保の取り組みを後押しする。政府が会期中の臨時国会で提出を目指している2022年度の第2次補正予算案に盛り込みたい考え。
自民党が開いた蓄電池関連の議員連盟の会合で、野原諭商務情報政策局長は「財政支援をすれば経済効果を発現する具体的な案件が積み上がっている」と指摘。その上で、「補助率を2分の1とすると合わせて計9000億円となる」と説明した。
内訳として、国内の蓄電池や関連素材の設備投資などサプライチェーン(供給網)強化で約5000億円、リチウムやニッケルなどの上流資源確保で約3500億円、クリーンエネルギー自動車の導入補助金など市場創出で数百億円、人材育成で約50億円の支援案件があるという。
21年度の補正予算では、国内生産基盤確保で1000億円を盛り込んだ。大幅な増額に向けて財務省と折衝している。
蓄電池産業関連の企業で構成する電池サプライチェーン協議会(BASC)は、国内生産能力150ギガワット時を実現するには、3兆4000億円の投資が必要になると試算している。このうち23年から5年間で、2兆3000億円の政府による支援を要望している。
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日刊工業新聞2022年10月6日