国内初、3Dプリンターのみで構造物建設中の大林組が得た手応え
大林組は建設用の3次元(3D)プリンターを使い、技術研究所で建設中の「実証棟」を報道陣に公開した。鉄筋や鉄骨は用いず、特殊なモルタルと独自の超高強度繊維補強コンクリート「スリムクリート」で仕上げる。建築基準法に基づく国土交通大臣認定を取得しており、3Dプリンターのみで建てる構造物では国内初。勝俣英雄執行役員技術研究所長は「3Dプリンターの実用化に道筋を付けることができた」と手応えを示した。
実証棟は1階と屋上で構成され、8月に壁の“印刷”を開始。すでに1階の大部分が完成した。構造部材は基礎と屋上階の床版を除き、すべて現場の3Dプリンターで作製。床版は3Dプリンターで分割して作製したデッキを架設し、スリムクリートを充填して完成させる。その上で3Dプリンターを屋上に移し、2階建てに見立てた壁を作る計画だ。2023年2月の竣工を予定している。
壁は構造体層と断熱層、ケーブルや空調ダクトを通す設備層の複層構造としており、躯体工事と同時に断熱や設備工事を行うことで工期短縮と省力化の効果を見込む。建築工事では従来の型枠による工法では難しい意匠性を求められる部分、土木工事では型枠を代替する用途などで3Dプリンターを活用することを想定している。
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日刊工業新聞 2022年11月21日