トンネルにコンクリ自動吹き付け、鹿島が効果確認した新システムの全容
鹿島は山岳トンネル工事におけるコンクリート吹き付け作業に向け、2021年に開発した「自動吹付けシステム」を実際の工事に適用し効果を確認した。複雑な凹凸がある岩盤面に用い、支保工間の仕上がり面に対してプラスマイナス20ミリメートルの精度で平滑に吹き付ける技術を確立した。今後は岩盤面に湧水があったり脆弱だったりし、コンクリートが付着しにくい部位への対応を進める。
穿孔からロックボルト打設まで6段階で施工する山岳トンネル自動化施工システム「クワッドアクセルforトンネル」の一つ。吹き付け範囲を計測して計画を作成し、制御プログラムに入力すると自動で吹き付けを始める。模擬トンネルで行った先行実験で、ノズルの距離や角度を適正にする手法を構築。実工事に適用した今回の検証により、複雑な凹凸面にも対応できる仕組みを完成した。
岐阜県飛騨市で手がける「神岡試験坑道工事」に適用した。トンネルの掘削延長は321・3メートル。アプローチ部の掘削断面積は43・9平方メートルで、73・5平方メートルで自動化施工の実証試験を行った。
日刊工業新聞 2023年01月13日