「価格転嫁できず」…コスト上昇で増す利益率低下の深刻度
利益率の低下、深刻さ増す
東京商工リサーチ(TSR)によると、調達コストが増加した企業のうち、増加分を販売価格に全く転嫁できていない企業が42・3%を占めることが分かった。上昇分を全額転嫁した企業は5・4%にとどまり、エネルギーや原材料価格の上昇に伴うコスト上昇によって、利益率の低下が深刻さを増しているとみる。
調達コスト増加の影響を受けている企業は87・8%に上った。「金属製品製造業」「電気機械器具製造業」「印刷・同関連業」など28業種で100%だった。その一方で、影響がない企業は、5・7%にとどまった。
調達コストが上昇した企業のうち、増加分を価格転嫁できていない業種は「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」などで90%を超えた。価格転嫁が全くできていない企業は、大企業が42・7%、中小企業が42・2%で、同水準だった。
TSRは「3月の企業物価指数は前年同月比7・2%上昇し、25カ月連続でプラス。鈍化傾向にはあるが、依然として上昇率は高く、価格転嫁は経営上の大きな課題になっている」と指摘する。
日刊工業新聞 2023年04月20日