旭化成が中計営業益目標を700億円減らす背景事情
旭化成は、2024年度を最終年度とする中期経営計画の営業利益目標について当初比最大700億円減の2000億円以上(22年度見込みは1250億円)に修正すると発表した。半導体不足や中国のロックダウン(都市封鎖)に加え、原燃料費の高騰が影響。一方、事業の構造転換などに取り組み、30年度をめどとする長期目標は据え置いた。
24年度の修正計画(事業領域別の営業利益目標)では、ヘルスケア領域が当初比200億円減の600億円、マテリアル領域は同200億円減の1100億円に修正した。当初全社目標の2700億円の達成時期は26―27年度に先送りする。
一方、24年度の売上高目標は同3000億円増の3兆円(22年度見込みは2兆7370億円)に引き上げた。原材料価格上昇に伴う製品への価格転嫁が進むとみる。
事業の構造転換や体質強化を踏まえ、30年度をめどとする営業利益4000億円の目標は据え置いた。同社は事業の構造転換として石油化学関連事業と業績が悪化している戦略再構築事業の見直しを実施する。体質強化として販管費の年約200億円の削減にも着手する。
ヘルスケア関連や環境関連など10の成長事業は優先順位をより明確にして成長投資を継続し、中長期的な収益拡大につなげる。工藤幸四郎社長は11日の会見で「世界の動きについて米国や欧州からさまざまな情報収集に力を入れる」と語った。
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日刊工業新聞 2023年04月12日