トヨタが調達部品価格を引き上げへ、エネルギー・資材高騰分を負担
トヨタ自動車が2023年4―9月期に、1次取引先からの調達品購入価格を引き上げることが分かった。エネルギー費用や資材価格の高騰分を負担する。一部の大手取引先に対しては原価低減活動に伴う購入価格の引き下げ要請を再開するが、費用負担分を合わせればトータルで値上げとなる見込み。生産効率改善といった競争力強化の取り組みは継続しつつ取引先の負荷低減を図り、賃上げや2次取引先以降の価格転嫁などの原資にしてもらいたい考えだ。
10日までに明らかにした。トヨタは毎年2回、年度の上期(4―9月期)と下期(10―翌3月期)に価格改定を実施している。生産性向上など取引先と取り組む原価低減活動の成果を基に調達品の価格引き下げを求めるものだが、昨今の資材高騰やエネ費用などの高騰を受け、22年度下期は見送っていた。
23年度上期は価格引き下げ要請を、下請け法の中小事業者に当たる1次取引先に対しては見送る。トヨタの1次取引先は四百数十社で、うち中小企業は10―20%に当たるという。また大手では足元での生産回復傾向や製品競争力などを鑑みて一部で価格反映(引き下げ要請)を実施するが、極力対象を絞り込むほか、要請しないことも視野に入れる。ただトヨタによれば価格反映分はコスト負担分の10分の1程度で、トータルでは値上げになるという。
トヨタの価格改定は個社ごとの経営状況や扱う製品の種類、市場環境などを踏まえ、おおむね0・数%から1%未満の引き下げ幅を設定するのが慣例だった。ただリーマン・ショックなど経済環境を受けて見送る年もあり、コロナ禍以降では20年度上期も実施しなかった。
【関連記事】 トヨタの世界戦略を支える強力な「日独連合企業」
日刊工業新聞 2023年02月11日