40人分の作業自動化、オリックス銀行がRPA・VBA活用で得た効果
高付加価値業務に人材シフト
オリックス銀行は、RPA(ソフトウエアロボットによる業務自動化)や米マイクロソフトのアプリケーションを自動化するプログラミング言語「VBA」の活用で、業務効率化を推進している。3月末までに、40人程の年間労働時間に相当する約6万5000時間分の作業をRPA、VBAで自動化した。2022年9月末の社員数は800人弱となっており、導入効果は高い。今後、IT・デジタル部門に設けたRPA推進室チームが中心となり、効果の向上や新たな活用方法の開発に取り組む方針だ。(石川雅基)
「業務フローの中にロボットを組み込んで考えることが多くなり、かなり浸透してきた」。オリックス銀行システム部の広瀬義行管掌役員補佐は、RPA、VBAの活用によって、従業員の日々の作業や意識が変化してきていることに手応えを感じている。大きな効果が表れているだけでなく、従業員からも作業負担が軽減されたと好評だ。
同社がこれまでに内製したRPAなどは約200体に上る。業務効率化や働き方改革、サービスの標準化などを目的に「5年程前から力を入れて増やしてきた」(広瀬管掌役員補佐)。
現在、主力の投資用不動産ローンにおける借り入れ申し込み後の社内処理や融資金の振り込み予約処理などに活用している。今後は一部繰上弁済の申し込みに対し、伝票を起票する処理などにも導入する。「作業ミスが発生しやすい業務であるため、作業品質の向上も期待している」(同社)という。
同社はIT導入が円滑に進むように組織・マネジメント面でも工夫している。例えば、IT・デジタル部門と営業をはじめとするユーザー部門との間で人材交流を行うことで、互いの業務への理解を深め、現場のニーズを適切に把握している。また、IT・デジタル部門では、ユーザー部門のデジタル化を支援するプロジェクトの数に目標数を設定し、積極的に業務のデジタル化に関わっている。
4月にはRPAなどの導入を進めるRPA推進チームをデジタル戦略推進部に設け、ユーザー部門のニーズに素早く対応するための体制を整備した。
金融業界ではRPA導入などによって従業員を削減する動きが広がっているが、オリックス銀行ではRPA導入で作業時間を削減しても「従業員は減らさない方針」(同社)を示す。より付加価値の高い仕事にシフトしてもらうことや重点分野に異動してもらうことで事業成長につなげる考えだ。