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いすゞが中小トラック一新、拡販への武器は「選べる自由」

いすゞが中小トラック一新、拡販への武器は「選べる自由」

新製品発表会で新型エルフを紹介する片山正則社長

いすゞ自動車は7日、17年ぶりに主力の中小型トラックを全面改良し、小型トラックを3月、中型トラックを夏頃に発売すると発表した。小型トラックは2500車型、中型トラックは1500車型に対応し、顧客の要望に柔軟に応えられるようにする。新たに小型電気自動車(EV)トラックもラインアップに加える。幅広い車種展開を武器に拡販につなげる。(石川雅基)

「選べる自由を提供する」。7日に開いた新製品発表会で、いすゞの片山正則社長は全面改良した小型トラック「エルフ」や中型トラック「フォワード」、EVトラックについてこう期待を込めた。

新型車は顧客の用途に合わせ、車体のフレームやキャブ(運転室部分)、車軸などを細かくカスタマイズできるので、多様なニーズに応えることが可能。燃費性能や使いやすさ、安全性能も高めるとともに、先進国や新興国といった仕向け地ごとに異なる用途、規制、動力源などに対応したトラックを効率的に開発し、供給する。小型トラックで年4万台の国内販売を目指す。

中小型トラックは藤沢工場(神奈川県藤沢市)に導入する共通のプラットフォームで造る。EVトラックもディーゼルエンジン車と混流生産する。顧客の要望に応えつつ、コストを抑える狙い。

小型トラックのラインアップに初めてEVトラックも加えた。電池は韓国LGエナジーソリューション製を搭載する。容量は40キロワット時と60キロワット時を用意。急速充電にも対応する。1回の充電で走行できる距離は100キロ―150キロメートルを想定する。専用の水冷式電池温度管理システムを採用し、走行時や充電時の温度を効率的に管理することで、劣化を防ぎ、安定して性能を発揮できるようにした。

日本で展開した後、北米、欧州の順に投入する。今後、現行の小型トラック以外にも最大で100キロワット時まで対応する車種や普通自動車免許で運転できる車種も投入する計画だ。

小型EVトラックは三菱ふそうトラック・バス日野自動車など国内大手も手がけているため、いすゞはラインアップを拡充して差別化を図りたい考え。

片山社長は小型EVトラックについて「これまで3年間のモニターで顧客からの多くの要望に応えてきた。(より安全・安心で効率的に使用できるよう)ソフトウエアも組み合わせて展開していきたい」と述べた。

日刊工業新聞 2023年03月08日

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