ニュースイッチ

コロナ支援が薄れ…企業倒産3年ぶり増加の理由

帝国データバンク(TDB)と東京商工リサーチ(TSR)がまとめた2022年度の企業倒産は、いずれも低水準ながら3年ぶりに増加に転じた。TDBは、前年度比14・9%(883件)増の6799件だった。前年度から800件以上増えるのは08年度以来14年ぶり。TSRは同15・1%(900件)増の6880件だった。21年度は政府による新型コロナウイルス関連の資金繰り支援が倒産件数を抑えてきたが、支援が終了して倒産する企業が増えた。

年度倒産件数

TDBは全8業種が前年度を上回った。全業種で前年度を上回るのは08年度以来14年ぶり。「サービス業」が1699件で最も多かった。伸び率は「運輸・通信業」が同35・9%(98件)で最も高かった。TSRも全10業種が前年度を上回った。最多は「サービス業他」で2245件だった。

3月の倒産件数は、TDBが前年同月比36・3%(213件)増の800件だった。11カ月連続で前年同月を上回った。月の倒産件数が800件を超えるのは、20年7月以来2年8カ月ぶり。

TSRは同36・4%(216件)増の809件。12カ月連続で前年同月を上回った。月の倒産件数が800件を超えるのは、19年7月以来3年8カ月ぶり。

22年度の特徴について、TSRは「コロナ支援が薄れて倒産が急増した」とみる。TDBは「物価高、人手不足、円安などの影響も大きい」と分析。23年度は「黒字倒産の発生も懸念され、倒産増加を後押しする可能性がある」(TDB)とする。

日刊工業新聞 2023年月4月11日

編集部のおすすめ