リンナイが部品在庫2倍積み増し、生かすコロナ禍の経験
リンナイは給湯器の部品在庫の水準を従来比約2倍の2―3カ月分に積み増す。コロナ禍で発生した部品調達先の生産停止で、2021年秋から22年春にかけて減産を余儀なくされた経験を踏まえた措置。すでに1社購買から複数社購買への切り替えや汎用性の高い部品の採用拡大で減産リスクの軽減を図っているが、さらに事業継続計画(BCP)を強化する。過剰在庫はキャッシュフローに影響するが、供給体制の維持を優先する方針だ。
給湯器で使うマイコンやワイヤハーネスなどの部品在庫を積み増す。管理費用などコスト増になるものの、製品の値上げには反映しない考え。連結貸借対照表で部品在庫量を示す「原材料および貯蔵品」は22年4―12月期時点で395億円となっている。
同社は21年に発生した部品不足による減産を機に、安定供給を優先する生産体制の構築を進めている。「未曽有の危機がいつ来るか分からない」(内藤弘康社長)として、これまでに進めた複数社購買への切り替えに加え、部品在庫の積み増しにも乗り出す。
コロナ禍を機に、給湯器の需給は変化した。13年以降の鉱工業指数(15年=100、季節調整済み)をみると、毎月100前後で推移していた生産動向を示す指数が22年春から120前後で高止まりしている。
納期の長期化を受け、顧客が前倒して発注する動きも顕在化。エネルギー価格高騰に伴う高効率モデルへの買い替えも需要を押し上げる。リンナイは「例年を超える生産量に回復したが、希望の納期に応えられない」と公表している。
同社は採算重視の姿勢を維持しつつも、供給体制の安定化に向けた投資は必要経費と考え、対応を急ぐ。
日刊工業新聞 2023年04月07日