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植物素材100%の製品開発、金属加工会社が東大発ベンチャーの技術で実践するSDGs

植物素材100%の製品開発、金属加工会社が東大発ベンチャーの技術で実践するSDGs

レモンの皮でつくったおちょこ、白菜のコースターなど食品廃棄物由来の新素材で製作した製品

金属加工業のMURONE(横浜市鶴見区)の室根貴之社長が机に並べたコースターやお酒を注ぐおちょこ、インテリア照明。どれもプラスチックか陶器のようだが、すべて植物系の食品廃棄物でできている。コースターは白菜やコーヒーかす、おちょこはレモンの皮だ。植物素材と樹脂と複合化した製品は多いが、机の上の製品はどれも植物素材100%でできている。

樹脂を使わずに食品廃棄物を成形する新素材は、東京大学発ベンチャーのfabula(ファーブラ、東京都大田区)が開発した。食品廃棄物を乾燥させて粉々にし、熱を加えながら圧縮すると堅い素材になる。室根社長がテレビで新素材を知り、すぐにファーブラに連絡した。ちょうどMURONEは植物工場を研究しており、規格外で廃棄する野菜の活用法として新素材に着目した。また、飲食店も経営しており、廃棄するレモンの皮の有効利用にもなると直感した。

「当社は53年間製造業を続けており、一品から作れる。試作も早い」(室根社長)という強みを生かし、新素材の成形に必要な金型を製作した。さらに金属加工で発生する切り粉を混ぜて風合いを出したり、金属との一体化も実現したりした。事業化はこれからだが、食品廃棄物の削減やプラスチックの代替品を求める社会要請と一致している。

ベトナム人の若手社員も一緒に新規事業を議論

企画部の加藤寛氏が「SDGs(持続可能な開発目標)に取り組むなら商品を開発して新しい市場を作りたい」と語るように、同社は新規事業によるSDGs実践にこだわる。千葉県内に農業の生産性向上やエネルギーの新技術を開発する研究所を開設予定だ。本業と関係がないように思えるが「やってみないと分からない」(室根社長)と挑戦する。

チャレンジ精神は若手にも継承されている。最近、入社したベトナム人女性は工作機械を操りながら緑化や会員制交流サイト(SNS)での発信も始めた。挑戦する意欲を尊重する企業姿勢がSDGsを加速させる。

日刊工業新聞 2023年4月3日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
レモンの皮を乾燥させ粉々にし、熱を加えてプレスした100%天然素材がカッチ、カッチで信じられませんでした。東大発ベンチャーは建築資材への採用を狙っているそうです。MURONEの本業は半導体製造装置の部品などの精密加工ですが、レモネードを出す飲食店もやっていて、柔軟さを感じました

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