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日本製紙社長が胸を張る、ペットボトルを代替する紙製品の正体

日本製紙社長が胸を張る、ペットボトルを代替する紙製品の正体

粘度の高いものや固形物入り飲料を充填できるNSATOM容器

プラスチックゴミ問題が深刻化する中、プラスチックの使用量を抑える動きが広がっている。日本製紙が四国化工機(徳島県北島町)と共同開発した紙製ボトルもその一例だ。ペットボトルの代替品となるキャップ付き紙容器と無菌充填システム「NSATOM(えぬえすアトム)」を完成させた。250ミリリットル入りサイズの場合、ペットボトルと比べプラスチック使用量を約7割削減できる。このほど飲料メーカーを中心に受注を始めた。

「パッケージで紙が見直されてきている。NSATOMはペットボトルの代替になる強力な製品だ」。日本製紙の野沢徹社長はプラスチック使用量を減らせる新製品の売り込みに強い意欲を示す。

新ボトルは粘度が高いスムージーやナタデココのような固形物(6ミリメートル角以下)が入った飲料、果実などの繊維(8ミリメートル以下)が入ったジュース、ドレッシングにも対応でき、常温での長期保存が可能だ。従来は粘度が高いものや固形物が入った飲料は紙容器に詰められなかったが、四国化工機と新たな充填システムを開発した。

四国化工機の植田滋社長は「過去30年にわたって(無菌充填の)アセプティック容器で培った技術を向上させ、NSATOMに最適な形に開発した」と力を込める。充填機は「キルレート6」の殺菌装置搭載と自動洗浄機能の採用により高衛生性と省力化を実現。さらに新開発した充填ノズルなどを導入した。

容器開発ではユーザーの注ぎやすさや持ちやすさに留意して人間工学的知見から取り組んだ。容器天面の角度やキャップの位置、注ぐ時の傾き、残液量を検証、試行錯誤を繰り返し商品化に至った。

日本製紙の大林保仁常務執行役員は「2025年に売上高50億円を目指す」という目標を掲げる。世界で脱プラの潮流が加速していることを背景に「海外の展示会などに“日本クオリティー”として出していきたい」と述べ、海外展開も視野に成長を加速させたい考えだ。(取材=山下絵梨)

日刊工業新聞2020年12月15日

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