産業現場の生産性高める、最適なAIの“眼”提案します
i―PRO(アイプロ、東京都港区、尾崎祥平社長)は、産業現場での人工知能(AI)アルゴリズムの開発や画像活用の推進に向けてモジュールカメラの供給を始めた。千差万別の環境に最適な“眼”とともに、組み込みソフトウエアも同時に提供し、現場の生産性向上に貢献する。
i―PROはモジュールカメラ事業「moduca(モジュカ)」を立ち上げた。侵入検知や製品の外観検査、流通の在庫検知といった多様な産業現場にAIとカメラを広げることが狙いだ。
BTO(受注生産方式)で画角や解像度、処理能力などの異なる1500種超のカメラを提供。ユーザーは光学、SoC(システム・オン・チップ)、インターフェースの各モジュールを組み合わせる。1台5万円台から購入できる。10台未満の発注であれば、発送は最短3営業日だ。
産業の現場は多種多様でカメラ設置条件も環境と目的で変わる。例えば電子基板の検査では狭角での接写、オフィス棚の欠品検知
では1メートルの撮影距離からの広角という具合だ。
塚原伸一モジュールカメラ事業部長は「AI開発者は市販カメラを苦労して使っている。少ない台数の専用カメラ開発に何千万円もかけるのは現実的ではない」と説明する。そこでBTOにより幅広いニーズに安価かつ迅速に応える。「現場で購入を判断できる価格で、すぐに試せる」(塚原部長)ことで、AIアルゴリズムや使用場所で異なる要求性能に合う最適なカメラをユーザーが試行錯誤しながら整えられるようにする。モジュール部品を単体で購入し、異なる仕様を試すことも可能だ。
システムはベンダーと協業する。AIシステムをカメラに組み込み、エッジデバイスとして利用できる。AI inside(東京都渋谷区)のAIモデル開発・運用システム「ラーニングセンター ビジョン」では、プログラミング不要でモデルを構築する。ネクストシステム(福岡市南区)の骨格検知システムなどもそろえる。
専用ツールを用いた、エンドユーザーによるシステム開発にもつなげる。塚原部長は「学生にオモチャ感覚で試行錯誤してもらいたい」と期待する。
i―PROはパナソニックのカメラ事業を前身とし、セキュリティーカメラでは国内トップシェアを誇る。耐久性や技術を背景に産業ニーズへの対応を加速する。ハードウエアとしてのカメラ生産に特化しつつ、パートナー企業と手を取り合いながらAIソリューションを生み出す。(西部・三苫能徳)