EV充電時間半分以下、パナソニック系がスゴイ「OBC」開発着手
パナソニックオートモーティブシステムズは、入力電圧800ボルト対応の電動車オンボードチャージャー(OBC)開発に着手し、早ければ2027年にも量産を開始する。まずは欧州自動車メーカーでの採用を目指す。電気自動車(EV)の普及には充電時間が課題となっており、その短縮に向けて高電圧化を進める。量産場所は明らかにしていないが、チェコか中国工場とみられる。
OBCは車両側に搭載され、交流電源から車載の高圧バッテリーに充電するために電力を直流に変換する充電回路。現在のEVに搭載されている400ボルト対応のOBCは、車種や電池、充電設備によって変わるが、普通充電器で満充電までに数時間かかる。
そのため同社は、より高圧の800ボルトに対応したOBCの開発にいち早く着手する。高周波駆動の回路技術に強みがあることから、小型化を追求することで自動車メーカーに訴求する。
充電時間を短縮するにはOBCの高電圧化に加え、インフラ側の対応も必須。同社は「インフラの高電圧化は欧州が先行する。欧州メーカーと取り組んできた実績もアドバンテージとなる」(永易正吏社長)と、まずは欧州車での採用を目指す方針だ。
永易社長は「あちこちに充電設備がないとドライバーは電池切れが怖くてEVに乗れない。充電器の高出力化と高電圧化が必要だが高出力はほぼ限界まできている」と指摘。800ボルト対応のOBC実用化などによって、充電時間を半分以下に短縮することを目指す。
【関連技術】 パナソニックも注目する元白熱電球メーカーの変身ぶり
日刊工業新聞 2022年12月29日