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「軽」「小型車」の安全機能を強化、ダイハツが生かす自動運転の知見

「軽」「小型車」の安全機能を強化、ダイハツが生かす自動運転の知見

ダイハツが開発した自動運転車

ダイハツ工業は2023年度にも、自動運転車の実証走行で蓄積した技術と知見を独自の予防安全機能「スマートアシスト(スマアシ)」に導入する。20年度に始めた自動運転の実証で得た成果を取り込み、衝突回避支援ブレーキなどを備えるスマアシの精度や信頼性をさらに高める狙い。危険の自動検知などで事故を減らす運転支援技術をスマアシに生かし、軽自動車と小型車の安全性能を強化する。

ダイハツは軽乗用車「タント」に全地球測位システム(GPS)や高性能センサー「LiDAR(ライダー)」、前方カメラを搭載した自動運転車を開発し、20年度から神戸市北区の住宅団地で公道を実証走行している。神戸市が地域交通モデルを構築する事業として参画し、内閣府の未来技術社会実装事業に採択されている。

住宅団地のルート2キロメートル弱で実証走行し、23年度以降も事業は継続する見通し。団地は丘陵地のため坂道での高度な速度制御が必要で、狭い路地や高齢者・子どもといった歩行者も多い。運転が難しく歩行者との接触危険も多いルートで、手動運転と組み合わせた「自動運転レベル3」相当で走行している。

これにより得た技術と知見をスマアシにも生かす考え。スマアシが備える衝突回避支援ブレーキや認識支援、運転負荷軽減、駐車支援など従来機能において、精度や信頼性の水準向上に活用する。新しい機能や人工知能(AI)については、自動運転車からスマアシへ技術移転しない。しかし、公道での実践的な自動運転で有益なデータや技術などを蓄積しており、スマアシの安全性能を補強できるとみている。

スマアシは22年7月に搭載車が400万台を突破した。12年に部分改良した軽乗用車「ムーヴ」で初めて搭載後、約10年で到達している。運転手の高齢化などから、予防安全機能のニーズは強まっている。将来技術の自動運転向けの開発を継続し技術水準を高めるとともに、安全運転技術の高度化にも結びつけていく。


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日刊工業新聞 2023年03月28日

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